2010.06/06(Sun)
迷走
社会人になって早3ヶ月目。
理不尽という名の社会の荒波に揉まれながらも何とか生きているヨルクです。
既に平日は帰宅時間が9時近く。
残業時間は雄に日当たり平均4時間近くになろうとしている現在。
土日も部屋の掃除と洗濯、しかもアイロン掛けまでしなければならないということで、休日が休日でなくなっているという昨今。
無駄にしんどいです。
さて、そんな中でも私はえっちらおっちらと小説を書き続けています。
というか迷走をしています。
以下、仮冒頭。
――――
轟(ごう)ッ。
パリの中心部、市内で最も美しいとされるシャンゼリゼ通りに、死神の鎌となった風が荒れ狂う。大通りの両脇に立ち並ぶマロエニの木が、原型を留めぬほどに寸断される。残忍な刃で哀れな犠牲者達の身体が切断され、内臓をぶちまけながら地面に転がる。
男は地面すれすれに上体を下げる。瞬間後、頭上を死神の鎌が大気を切り裂きながら駆け抜ける。背後から、地面の表面を裂く切断音が続いた。
顔を上げると、前方に立つ黒衣の魔術師達の眼前で、円陣が幾何学模様を描きながら回転を始めていた。
男は粉塵の積もる地面に手をつき、意識を集中する。肉体の内に宿るエーテル体から魔力を精製。脳を介した高速演算で魔力を領域干渉言語へ変換。己の肉体を通り道とし、世界の深淵に存在するイェツィラー界――四大元素が鎮座する位相空間へと言語を発信し、領域干渉を開始する。
術陣と呼ばれる円陣を媒介として、位相空間にて具現した現象を現実空間へ相転移し、土系分離魔術《沈滞する波濤》が発動。
音速を超える衝撃波が空気を介して周囲へ伝播。球状に広がる衝撃は一度地面で反射し、入射波と反射波が重なることで、圧力が二倍近くもなる融合波面を生み出す。瞬時に圧力が膨れ上がった死の波濤が魔術師達に襲いかかる。
亡びを宿した波動が魔術師たちの身体を吹き飛ばし、内臓を破裂させ、血風を巻き起こす。
東はコンコルド広場から西は凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール広場までの全長約三キロメートルのパリの歴史軸は、いまやその栄光の歴史を終え、血と死の匂いを孕んだ戦場へと変貌を遂げていた。
《薔薇十字団》が誇る実働魔術師部隊《カドシュの法院》の臨戦魔術師達が死体を乗り越え、男に肉薄。怒号と共に一斉に魔術を顕現、発動する。位相空間から呼び出された数十条もの炎の息吹が放たれ、白煙を貫く。
それは、火系分離魔術《紫竜の火焔》だった。魔術のナパーム弾とも恐れられるこの術式は、純粋な火系分離魔術最大級の火力、摂氏九百から千三百度を越える地獄の業火を生み出す。超高熱で燃焼する炎は広範囲を灰燼へと変え、大量の酸素を枯渇させるほどの威力を持つ。まさに火系魔術最高峰の名に恥じぬ、最凶の術式だ。
男は既に組成していた魔術を即時展開する。風系分離魔術《沈黙する白波》を発動。位相空間に存在する四大元素から齎される絶対命令により、魔術効果が現実空間に発現される。
男の前方、術陣が敷かれた限定空間内の大気の胎動が止まり、絶対命令による縛鎖が分子の流動を拘束する。いわゆる風の結界と称されるこの魔術は、大気中に存在する酸素や窒素という主要分子の流動を束縛し、波の伝達の一切を遮断する。
射出された竜の息吹が沈黙した大気に着弾。しかし骨すら燃やす灼熱は、動きを止めた大気に熱の伝播と酸素供給を阻止され、消失する。
火系分離魔術を防ぎきったところで結界を解除し、男は新たに組成していた魔術を展開。風系分離魔術《烈陣》による最大風速百二十メートル風圧七十三キロの猛烈な暴風で、眼前にまで迫っていた臨戦魔術師達を一気に押し返す。更に平行展開していた火系分離魔術《見えざる鮮紅》を発動。狭い範囲に収束、収斂させて高密度のエネルギーを宿した赤外線を横薙ぎに射出する。赤外線レーザーは臨戦魔術師達の身体を容易に貫き、上半身と下半身とに切断。圧倒的な熱量により炭化した断面から焦げ臭い匂いを漂わせ、分断された死体が次々と地面に落下、更なる土煙を巻き起こす。
煙幕を切り裂いて閃光が迸る。男は驚異的な反射神経で横に飛び、光を避ける。地鳴りにも似た重低音が男の鼓膜を震わす。
光の正体は水系分離魔術《月琴弦》だった。加圧された水を極小の小さな穴に通し、糸状の細い水流を射出し物体を切断するウォータージェットというものがある。この原理をそのまま魔術に適用したものが、この術式だ。
赤外線レーザーたる《見えざる鮮紅》と同系統の魔術であり、速度こそ劣るが、モース硬度最高値のダイヤモンドすら容易く切断する≪月琴弦≫は、現実的に防御が不可能な残忍な術式だ。
煙の中で燐光が輝く。男が視線を下げると、煙の奥から伸びた術陣が足元まで広がっていた。男はすぐにその意味を悟り、戦慄する。背後を振り返ると、音速の三倍を超える速度で循環する極細の水流が軌道を変化させ、再び男を殺さんと舞い戻ってきていた。水流は悪魔のような命中精度で男の心臓を狙う。
男は身体を捻って水流を避けるが、同時に肘に激痛が走る。命に別状は無いとして痛みを無視。
人間の処理能力を超えるほどの高速演算により、土系分離魔術《沈滞する波濤》を即時展開。死の波濤となった融合波面が粉塵を吹き飛ばし、水流を霧散させ、ただ一人残る魔術師へと疾走する。
内臓を潰す不可視の波は、しかし黒の法衣の手前の空間で突如として消失する。
「《カドシュの法院》の一個中隊が十数分足らずで壊滅。やはり腐っても第八階梯《神殿の首領(マジスターテンプリ)》か。しかし堕ちたな。鈍っているぞ?」
大気すら凍てつく低い声が、シャンゼリゼ通りに静かな波紋を落とす。男の視線の先、四肢を通りに投げ出した死体の上に、金糸に彩られた華奢な黒衣が立っていた。黒衣の頭部は、ルーン式魔術用の呪符で張り巡らされている。やや猫背気味の老人が、呪符の隙間から鋭い燐光を男へ向ける。
「故に散れ。我らが戒律すら守れぬ輩に、偽りの生を享受する資格などない」
老人の瞳と合った瞬間、男の背筋に霹靂にも似た強烈な恐怖が走る。この老人自ら抹殺に乗り出すとは、男は予想していなかった。
大気に圧倒的な殺意と尋常ではない魔力が膨れ上がる。老人が持つ存在感が、物理的な圧力となって男の身体を一歩後ろへ下げる。
男の無様な一歩を嘲笑うように、老人が唇を吊り上げる。
「貴様に闇も光も似合わぬ。白夜の果てで偽りの死を享受するといい。あの者と共にな」
「ルーベンソン!」
男は獣のように咆哮した。呪詛の如き憤怒が、男の脳内で高速演算を開始。全魔力の殆どを超演算に費やし、物質系架空魔術《断罪の輪》を呼び起こす。術陣から顕現した極光の輪は、男の激昂に従い老人に襲いかかる。
是非もなく。抵抗すら許さず。極光に触れたあらゆる物質が分解し、塵すらその存在を保つことができずに解離する。
分子を分子として存在させているのは、原子間に働く化学結合という力があるからだ。《断罪の輪》によって相互作用が解き放たれた分子は、分子としての形を保つことができなくなる。結果、あらゆる物質は原子にまで分解される。
「だから堕ちたというのだ。いかに強大な術式とて、正面から放ち直撃する道理がどこにある? 陽動、もしくは光速を誇る電磁系結合魔術を駆使し、体勢を崩し、主砲を放つ。怒りで基本すら忘れてしまったか」
――――
続きは遠い未来にて。。。
理不尽という名の社会の荒波に揉まれながらも何とか生きているヨルクです。
既に平日は帰宅時間が9時近く。
残業時間は雄に日当たり平均4時間近くになろうとしている現在。
土日も部屋の掃除と洗濯、しかもアイロン掛けまでしなければならないということで、休日が休日でなくなっているという昨今。
無駄にしんどいです。
さて、そんな中でも私はえっちらおっちらと小説を書き続けています。
というか迷走をしています。
以下、仮冒頭。
――――
轟(ごう)ッ。
パリの中心部、市内で最も美しいとされるシャンゼリゼ通りに、死神の鎌となった風が荒れ狂う。大通りの両脇に立ち並ぶマロエニの木が、原型を留めぬほどに寸断される。残忍な刃で哀れな犠牲者達の身体が切断され、内臓をぶちまけながら地面に転がる。
男は地面すれすれに上体を下げる。瞬間後、頭上を死神の鎌が大気を切り裂きながら駆け抜ける。背後から、地面の表面を裂く切断音が続いた。
顔を上げると、前方に立つ黒衣の魔術師達の眼前で、円陣が幾何学模様を描きながら回転を始めていた。
男は粉塵の積もる地面に手をつき、意識を集中する。肉体の内に宿るエーテル体から魔力を精製。脳を介した高速演算で魔力を領域干渉言語へ変換。己の肉体を通り道とし、世界の深淵に存在するイェツィラー界――四大元素が鎮座する位相空間へと言語を発信し、領域干渉を開始する。
術陣と呼ばれる円陣を媒介として、位相空間にて具現した現象を現実空間へ相転移し、土系分離魔術《沈滞する波濤》が発動。
音速を超える衝撃波が空気を介して周囲へ伝播。球状に広がる衝撃は一度地面で反射し、入射波と反射波が重なることで、圧力が二倍近くもなる融合波面を生み出す。瞬時に圧力が膨れ上がった死の波濤が魔術師達に襲いかかる。
亡びを宿した波動が魔術師たちの身体を吹き飛ばし、内臓を破裂させ、血風を巻き起こす。
東はコンコルド広場から西は凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール広場までの全長約三キロメートルのパリの歴史軸は、いまやその栄光の歴史を終え、血と死の匂いを孕んだ戦場へと変貌を遂げていた。
《薔薇十字団》が誇る実働魔術師部隊《カドシュの法院》の臨戦魔術師達が死体を乗り越え、男に肉薄。怒号と共に一斉に魔術を顕現、発動する。位相空間から呼び出された数十条もの炎の息吹が放たれ、白煙を貫く。
それは、火系分離魔術《紫竜の火焔》だった。魔術のナパーム弾とも恐れられるこの術式は、純粋な火系分離魔術最大級の火力、摂氏九百から千三百度を越える地獄の業火を生み出す。超高熱で燃焼する炎は広範囲を灰燼へと変え、大量の酸素を枯渇させるほどの威力を持つ。まさに火系魔術最高峰の名に恥じぬ、最凶の術式だ。
男は既に組成していた魔術を即時展開する。風系分離魔術《沈黙する白波》を発動。位相空間に存在する四大元素から齎される絶対命令により、魔術効果が現実空間に発現される。
男の前方、術陣が敷かれた限定空間内の大気の胎動が止まり、絶対命令による縛鎖が分子の流動を拘束する。いわゆる風の結界と称されるこの魔術は、大気中に存在する酸素や窒素という主要分子の流動を束縛し、波の伝達の一切を遮断する。
射出された竜の息吹が沈黙した大気に着弾。しかし骨すら燃やす灼熱は、動きを止めた大気に熱の伝播と酸素供給を阻止され、消失する。
火系分離魔術を防ぎきったところで結界を解除し、男は新たに組成していた魔術を展開。風系分離魔術《烈陣》による最大風速百二十メートル風圧七十三キロの猛烈な暴風で、眼前にまで迫っていた臨戦魔術師達を一気に押し返す。更に平行展開していた火系分離魔術《見えざる鮮紅》を発動。狭い範囲に収束、収斂させて高密度のエネルギーを宿した赤外線を横薙ぎに射出する。赤外線レーザーは臨戦魔術師達の身体を容易に貫き、上半身と下半身とに切断。圧倒的な熱量により炭化した断面から焦げ臭い匂いを漂わせ、分断された死体が次々と地面に落下、更なる土煙を巻き起こす。
煙幕を切り裂いて閃光が迸る。男は驚異的な反射神経で横に飛び、光を避ける。地鳴りにも似た重低音が男の鼓膜を震わす。
光の正体は水系分離魔術《月琴弦》だった。加圧された水を極小の小さな穴に通し、糸状の細い水流を射出し物体を切断するウォータージェットというものがある。この原理をそのまま魔術に適用したものが、この術式だ。
赤外線レーザーたる《見えざる鮮紅》と同系統の魔術であり、速度こそ劣るが、モース硬度最高値のダイヤモンドすら容易く切断する≪月琴弦≫は、現実的に防御が不可能な残忍な術式だ。
煙の中で燐光が輝く。男が視線を下げると、煙の奥から伸びた術陣が足元まで広がっていた。男はすぐにその意味を悟り、戦慄する。背後を振り返ると、音速の三倍を超える速度で循環する極細の水流が軌道を変化させ、再び男を殺さんと舞い戻ってきていた。水流は悪魔のような命中精度で男の心臓を狙う。
男は身体を捻って水流を避けるが、同時に肘に激痛が走る。命に別状は無いとして痛みを無視。
人間の処理能力を超えるほどの高速演算により、土系分離魔術《沈滞する波濤》を即時展開。死の波濤となった融合波面が粉塵を吹き飛ばし、水流を霧散させ、ただ一人残る魔術師へと疾走する。
内臓を潰す不可視の波は、しかし黒の法衣の手前の空間で突如として消失する。
「《カドシュの法院》の一個中隊が十数分足らずで壊滅。やはり腐っても第八階梯《神殿の首領(マジスターテンプリ)》か。しかし堕ちたな。鈍っているぞ?」
大気すら凍てつく低い声が、シャンゼリゼ通りに静かな波紋を落とす。男の視線の先、四肢を通りに投げ出した死体の上に、金糸に彩られた華奢な黒衣が立っていた。黒衣の頭部は、ルーン式魔術用の呪符で張り巡らされている。やや猫背気味の老人が、呪符の隙間から鋭い燐光を男へ向ける。
「故に散れ。我らが戒律すら守れぬ輩に、偽りの生を享受する資格などない」
老人の瞳と合った瞬間、男の背筋に霹靂にも似た強烈な恐怖が走る。この老人自ら抹殺に乗り出すとは、男は予想していなかった。
大気に圧倒的な殺意と尋常ではない魔力が膨れ上がる。老人が持つ存在感が、物理的な圧力となって男の身体を一歩後ろへ下げる。
男の無様な一歩を嘲笑うように、老人が唇を吊り上げる。
「貴様に闇も光も似合わぬ。白夜の果てで偽りの死を享受するといい。あの者と共にな」
「ルーベンソン!」
男は獣のように咆哮した。呪詛の如き憤怒が、男の脳内で高速演算を開始。全魔力の殆どを超演算に費やし、物質系架空魔術《断罪の輪》を呼び起こす。術陣から顕現した極光の輪は、男の激昂に従い老人に襲いかかる。
是非もなく。抵抗すら許さず。極光に触れたあらゆる物質が分解し、塵すらその存在を保つことができずに解離する。
分子を分子として存在させているのは、原子間に働く化学結合という力があるからだ。《断罪の輪》によって相互作用が解き放たれた分子は、分子としての形を保つことができなくなる。結果、あらゆる物質は原子にまで分解される。
「だから堕ちたというのだ。いかに強大な術式とて、正面から放ち直撃する道理がどこにある? 陽動、もしくは光速を誇る電磁系結合魔術を駆使し、体勢を崩し、主砲を放つ。怒りで基本すら忘れてしまったか」
――――
続きは遠い未来にて。。。
2010.05/29(Sat)
理系の受難
おそらく、職場にただ一人の理系学校出身の私。
だからこそたまにとってもすごい誤解というか、期待をされることが多々あるのだ。
◇暗算
営業で入った私だが、たまに商品の入庫出庫作業を手伝っている。
そこではパートさんたちと仕事をしており、えっちらおっちらと働いている。
あるとき、
パート1「ウメくん、これ計算してくれる?」
私「はいはい~」
呼ばれて計算を見てみると、四桁の計算だった。
期待満々で私の顔を覗いてくるパートさん。
パート1「ウメくん理系だからできるよね?」
私「無理です」
パート1「あれ? 理系の人って全員そろばん計算できるんじゃないの?」
私「それは大いなる誤解です」
理系は全員そろばんができる……わけはない。
◇デジカメ
営業事務所の机で働いていた私。
不意に所長に呼ばれ、山積みになったダンボールの山の写真を取って欲しいと言われる。
近くにいた事務員さんからデジカメを受け取り、ダンボールの山の前に仁王立ちし、
私「……デジカメの使い方がワカリマセン」
事務員さん「(なぜか爆笑)」
私「……シャッターどこですか?」
事務員さん「ウメくん、理系でパソコンできるのにデジカメは使えないんだね」
私「基本的に文明の利器は苦手です」
その後、事務員さんに教えてもらいながらなんとか任務を終えることができました。
だからこそたまにとってもすごい誤解というか、期待をされることが多々あるのだ。
◇暗算
営業で入った私だが、たまに商品の入庫出庫作業を手伝っている。
そこではパートさんたちと仕事をしており、えっちらおっちらと働いている。
あるとき、
パート1「ウメくん、これ計算してくれる?」
私「はいはい~」
呼ばれて計算を見てみると、四桁の計算だった。
期待満々で私の顔を覗いてくるパートさん。
パート1「ウメくん理系だからできるよね?」
私「無理です」
パート1「あれ? 理系の人って全員そろばん計算できるんじゃないの?」
私「それは大いなる誤解です」
理系は全員そろばんができる……わけはない。
◇デジカメ
営業事務所の机で働いていた私。
不意に所長に呼ばれ、山積みになったダンボールの山の写真を取って欲しいと言われる。
近くにいた事務員さんからデジカメを受け取り、ダンボールの山の前に仁王立ちし、
私「……デジカメの使い方がワカリマセン」
事務員さん「(なぜか爆笑)」
私「……シャッターどこですか?」
事務員さん「ウメくん、理系でパソコンできるのにデジカメは使えないんだね」
私「基本的に文明の利器は苦手です」
その後、事務員さんに教えてもらいながらなんとか任務を終えることができました。
2010.05/02(Sun)
持ってない
遂に広告が出るまで放置してしまった管理人です。
さて、無事なのかどうかは分かりませんが、無事滑り込みで就職を果たし、日々えっちらおっちらと働いております。
ようやく配属先も決まり、一年間ですが埼玉になりました。
引越しもそろそろ始まりそうですが、なにぶん引っ越し先にネット環境があるのかも疑わしいので、この先も当分なんやかんやと書くことはできないでしょう。
さてさて、折角の久しぶりな更新なので、職場で起きたびみょーなお話をしましょう。
◇タ・ス・ポ
ある日、研修中のことだった。
私は、埼玉の共用センター(商品を入出庫する場所)で製品を覚えるべくえっちらこっちらと働いていた。
上司A「ウメ君、ちょっといいかい?」
不意に呼ばれ、振り返ると上司が真剣な表情で私を見つめていた。
なんだ? なんか致命的なミスでも犯したのか!? っと若干ビビりながら応対をすると、
私「はい、なんでしょう?」
課長 「ウメ君、タスポ持ってない?」
私 「なんですって?」
課長 「タスポだよタスポ、ウメ君タバコ吸うんだよね?」
私 「いえ、吸いますけどタスポは持ってません……」
課長 「そうかい (´・ω・`)←こんな顔をしてた」
残念そうに、それでいてタバコを求めるようにいそいそとその場を去っていく課長。
勤務中にそんなこと聞く課長にちょっと親近感を覚えました(*´ω`*)
さて、無事なのかどうかは分かりませんが、無事滑り込みで就職を果たし、日々えっちらおっちらと働いております。
ようやく配属先も決まり、一年間ですが埼玉になりました。
引越しもそろそろ始まりそうですが、なにぶん引っ越し先にネット環境があるのかも疑わしいので、この先も当分なんやかんやと書くことはできないでしょう。
さてさて、折角の久しぶりな更新なので、職場で起きたびみょーなお話をしましょう。
◇タ・ス・ポ
ある日、研修中のことだった。
私は、埼玉の共用センター(商品を入出庫する場所)で製品を覚えるべくえっちらこっちらと働いていた。
上司A「ウメ君、ちょっといいかい?」
不意に呼ばれ、振り返ると上司が真剣な表情で私を見つめていた。
なんだ? なんか致命的なミスでも犯したのか!? っと若干ビビりながら応対をすると、
私「はい、なんでしょう?」
課長 「ウメ君、タスポ持ってない?」
私 「なんですって?」
課長 「タスポだよタスポ、ウメ君タバコ吸うんだよね?」
私 「いえ、吸いますけどタスポは持ってません……」
課長 「そうかい (´・ω・`)←こんな顔をしてた」
残念そうに、それでいてタバコを求めるようにいそいそとその場を去っていく課長。
勤務中にそんなこと聞く課長にちょっと親近感を覚えました(*´ω`*)
2010.03/20(Sat)
ぷろろーぐ
三ヶ月をかけてようやく構想が固まったプロローグ。
粛、と大気が波立った。
中心部は、立体駐車場を支える鉄骨の柱の中腹。大気や地面の揺らぎから換算し、目算にしておよそ半径一.五メートル。直径約三メートルの空間が、重力波にも似た巨大な力となって中心部に殺到を開始する。
重力力場に内側にいた邦來(ほうらい)は、瞬時に地面を蹴り転がりながら領域を離脱。その刹那、領域内にあった鉄骨が、轟音と共に一瞬にして圧搾した。
三百六十度、あらゆる角度から極大な力により潰された鉄骨の塊は、力場が消えると同時に落下、コンクリートの地面にめり込む。
コンマ一秒ほど遅ければ、自分も鉄骨と同じ最期を見る羽目になっただろう。
塊から目を離し、立ち上がった邦來の視界が歪む。大気が脈動し、再び中心部に向かって巨大な力が収束を始めていた。
その場を跳躍。次の瞬間、邦來が立っていた地面が陥没した。そこには、極小の隕石が落ちたようなクレーターが出来上がっていた。
邦來は舌打ち。その場に留まることを良しとせず、術者に向かって全力疾走を開始する。
原理は分からないが、術者が操る力は半径約一.五メートルの空間を問答無用で圧壊し、崩壊させる。その力は先ほど証明されたとおり、鉄骨すら圧搾する不条理極まりない威力。まさに人智を超えた超能力といったところだ。
術者まで約十メートルを切ったところで、第三波が放たれる。右に跳躍することにより不可視の重力波を避ける。追い討ちとばかりに第四、第五波が連続で放たれるが、転がりながらこれを回避。地面を蹴って術者との間合いを詰める。
術者は肉薄する邦來の姿を見定めながら、無残に唇を歪めて冷笑する。
眼前にいるこの女は、この世に存在する闇をかき集めた黒よりもなお昏い。吸血鬼のような気色悪い笑みを常に浮かべ、大蛇バジリスクのような視線だけで人を殺せる瞳を持ち、猟奇殺人鬼も尻尾を巻いて逃げ出すほどの血生臭い雰囲気を漂わせている。
人間でありながら人間ではない。化物であり怪物。この女を形容するにはこの二つが相応しい。
黒蛋白石(ブラックオパール)のような玲瓏な瞳が、邦來の姿を捉える。身体を抱きしめるように両腕を組んでいた女が、やや前かがみに腰を落とす。
女を中心点として、外部へと巨大な力が発散を始める。先ほどまでの攻撃を引力とするならば、今度は斥力といったところか。
邦來は急停止して地面に伏す。直後、猛烈な大気の波濤が襲い掛かる。凶悪な空間膨張に耐え切れず身体が浮かび上がり、力のままに後方に吹き飛ばされる。生き残っていた鉄骨に叩きつけられる寸前、空中で身体を捻る。鉄骨を足場に膝をバネとして衝撃を軽減、床に降り立つと同時に女へと走る。
距離はおよそ十メートルまで戻されたが、全力疾走をすれば三秒も立たずに接近できる。だが、女がそれを許すわけもなく、空間を圧搾する力場を連続して放つ。すべてを最小限、ギリギリで回避し、女との距離をおよそ三メートルまで縮める。女が再び空間を膨張せんと超能力を行使する。邦來はそれを見越し、効力圏内に侵入すると同時に隠し持っていた短刀を投擲。女は眉間へと殺到する死の刃を、首を逸らすだけで避ける。
が、集中力が途切れたのか、空間膨張の発動が大幅に遅れる。大幅とはいえ、コンマ五秒かそれ以下の僅かな間。しかし、邦來にとっては十分な間だった。
超能力の発動が開始されるまでの刹那の間に女の眼前に迫った邦來は、更に隠し持っていた二本目の短刀を逆手で抜く。疾走の勢いのまま女の細首に一気に突き立てる。渾身の力でもって突き出した一撃は、女の細首程度ならへし折るほどの威力を持っていただろう。
短刀は確実に女の動脈を捕らえ、骨まで食い込んでいた。邦來は短刀を握る手へ更に力を込める。肉を貫く生理的嫌悪感を催す音を鳴らし、刃が数センチ奥へとめり込む。不思議なことに、一滴たりとも血は出てこなかった。
勝敗など当に決しているというのに、邦來は力を緩めることをしない。それどころか今も必死の表情で、女の細首を切断せんと刺突の力を横薙ぎへと変換しようとしている。なぜならこの女は――
「手元が僅かに狂っているな。私を殺すのがそんなに嫌か、邦來?」
――不死身だからだ。
「望みどおり、殺してやるよ!」
呪詛のように叫び、邦來は刃を一気に薙ぐ。八割ほど切り裂いた細首の断面から、数滴の血が虚空に舞う。首を斬ったというにも関わらず、あまりにも少ない流血。そして無骨に斬られた首の傷が完全に塞がる。再生した首は傷ひとつ見当たらない。その事実が、女が普通ではなく不死身であることを如実に示す。
吸血鬼のように開かれた女の唇が、背筋を凍えさせるほどの威圧感を孕んだ笑みを形作る。後方へ高く跳躍しながら超能力を始動する。
邦來の心臓を中心として、直径約六メートルの巨大な力場が形成される。先ほどより数段広い領域が、中心部へ向かって膨大な力を伴いながら収縮を開始する。
先の経験から、力場生成から圧縮開始までは一秒以下。自身の運動能力、体勢から鑑みても、半径約三メートルの殺傷領域から逃れることはできない。鉄骨をも圧搾する力は、一秒後には邦來という人間をただの肉塊に変えるだろう。即ち死。巨人の手に握り締められることと同意である。
間近に死を実感すると共に、全身の産毛が逆立ちを始める。寒気どころではない。圧倒的な現実感を持つ死への恐怖で身体が弛緩する。それに伴い眩暈もするが、これは恐怖からなのか空間の収縮に伴うものなのかを判断することができない。
死にたくない。まだ死ねない。
精神崩壊の寸前、邦來がようやく、今になって己が置かれている状況をほぼ正確に把握する。
女が操るこの力は、単なる空間の収縮ではなかった。邦來の眼には、この世の概念が青色の濃淡となって映っていた。均一な薄い青色に染まっていた空間は、外側から濃い青となって内側に侵入していく。恐らく、均等に偏在する空間の存在確率を一点に集めることにより、周囲の空間を無理やり一点に収縮させているのだ。学問によって導き出される世の理(ことわり)を完全に無視し、存在確率という曖昧なものを操作することにより擬似的に空間を圧縮している。
ならば、やりようはある。
邦來は一点に殺到する存在概念を視認し、この現象が世界において致命的な欠陥であることを確認する。バグは取り除かなければならない。それは人間にとっても世界にとっても同一の見解である。
邦來は、歪められた存在概念を仮想天秤に片皿に、正常な空間の存在概念を片皿に乗せる。世界という審判者に天秤を傾けさせる。傾くのは正常な空間の存在概念。ならば、歪められた存在概念は、世界が持つ恒常性によりその存在が掻き消され、空間圧縮という超能力は無効化される。
存在概念を歪められ、存在確率を操作させられていた空間は、世界という絶対権限によりその枷を外され、元に戻るべく中心部へと向かっていた力が元あった空間に戻される。その現象は風となって立体駐車場内を荒れ狂い、あちこちに降り積もっていた粉塵を巻き上げる。砂がコンクリートの地面や鉄柱を擦る音を鳴らす。
視界が明瞭になった頃、前方に立っていた女が軽やかに拍手をしていた。吸血鬼のような気色悪い笑みを常に浮かべ、大蛇バジリスクのような視線だけで人を殺せる瞳を持ち、猟奇殺人鬼も尻尾を巻いて逃げ出すほどの血生臭い雰囲気を漂わせる、人間でありながら人間ではない、化物であり怪物である女が、満足そうに拍手をしていた。
「一度だけとはいえ私の力の正体を視、唯一の弱点を探り当て、そして己の力を使って完全に無効化した。完璧には程遠いが及第点だな」
女は大層嬉しそうに微笑んでいた。吸血鬼のような人間離れした冷笑で、邦來の偉業を称えていた。
「阿頼耶(あらや)、お前は何度俺を殺そうとすれば気が済むんだ? 普通死ぬぞアレ」
「結果よければすべてよしと言うだろう? それに、お前も私の首に短刀を突き立てたじゃないか。それでおあいこにしよう」
「不死身の化物と一般人の俺を一緒にするな」
「失礼な。何度言ったら分かる、私はちゃんとした麗しい乙女だぞ? なんなら今晩私を抱いて確認してみるか?」
阿頼耶の扇情さの欠片もない誘惑を無視し、邦來はその場に座り込んだ。折りたたみ式の携帯電話を開いて時刻を確認する。
ニ〇一〇年四月四日、午後二十三時四十分。あと二十分もすれば、高校一年の春休みが始まる時刻。
いつもどおりだった。二人によるいつもどおりの殺し合いだった。
目の前まで歩いてきた阿頼耶が手を差し出す。その手を掴んで立ち上がったときに見えた空は、下弦の月が浮かぶ漆黒の夜だった。
粛、と大気が波立った。
中心部は、立体駐車場を支える鉄骨の柱の中腹。大気や地面の揺らぎから換算し、目算にしておよそ半径一.五メートル。直径約三メートルの空間が、重力波にも似た巨大な力となって中心部に殺到を開始する。
重力力場に内側にいた邦來(ほうらい)は、瞬時に地面を蹴り転がりながら領域を離脱。その刹那、領域内にあった鉄骨が、轟音と共に一瞬にして圧搾した。
三百六十度、あらゆる角度から極大な力により潰された鉄骨の塊は、力場が消えると同時に落下、コンクリートの地面にめり込む。
コンマ一秒ほど遅ければ、自分も鉄骨と同じ最期を見る羽目になっただろう。
塊から目を離し、立ち上がった邦來の視界が歪む。大気が脈動し、再び中心部に向かって巨大な力が収束を始めていた。
その場を跳躍。次の瞬間、邦來が立っていた地面が陥没した。そこには、極小の隕石が落ちたようなクレーターが出来上がっていた。
邦來は舌打ち。その場に留まることを良しとせず、術者に向かって全力疾走を開始する。
原理は分からないが、術者が操る力は半径約一.五メートルの空間を問答無用で圧壊し、崩壊させる。その力は先ほど証明されたとおり、鉄骨すら圧搾する不条理極まりない威力。まさに人智を超えた超能力といったところだ。
術者まで約十メートルを切ったところで、第三波が放たれる。右に跳躍することにより不可視の重力波を避ける。追い討ちとばかりに第四、第五波が連続で放たれるが、転がりながらこれを回避。地面を蹴って術者との間合いを詰める。
術者は肉薄する邦來の姿を見定めながら、無残に唇を歪めて冷笑する。
眼前にいるこの女は、この世に存在する闇をかき集めた黒よりもなお昏い。吸血鬼のような気色悪い笑みを常に浮かべ、大蛇バジリスクのような視線だけで人を殺せる瞳を持ち、猟奇殺人鬼も尻尾を巻いて逃げ出すほどの血生臭い雰囲気を漂わせている。
人間でありながら人間ではない。化物であり怪物。この女を形容するにはこの二つが相応しい。
黒蛋白石(ブラックオパール)のような玲瓏な瞳が、邦來の姿を捉える。身体を抱きしめるように両腕を組んでいた女が、やや前かがみに腰を落とす。
女を中心点として、外部へと巨大な力が発散を始める。先ほどまでの攻撃を引力とするならば、今度は斥力といったところか。
邦來は急停止して地面に伏す。直後、猛烈な大気の波濤が襲い掛かる。凶悪な空間膨張に耐え切れず身体が浮かび上がり、力のままに後方に吹き飛ばされる。生き残っていた鉄骨に叩きつけられる寸前、空中で身体を捻る。鉄骨を足場に膝をバネとして衝撃を軽減、床に降り立つと同時に女へと走る。
距離はおよそ十メートルまで戻されたが、全力疾走をすれば三秒も立たずに接近できる。だが、女がそれを許すわけもなく、空間を圧搾する力場を連続して放つ。すべてを最小限、ギリギリで回避し、女との距離をおよそ三メートルまで縮める。女が再び空間を膨張せんと超能力を行使する。邦來はそれを見越し、効力圏内に侵入すると同時に隠し持っていた短刀を投擲。女は眉間へと殺到する死の刃を、首を逸らすだけで避ける。
が、集中力が途切れたのか、空間膨張の発動が大幅に遅れる。大幅とはいえ、コンマ五秒かそれ以下の僅かな間。しかし、邦來にとっては十分な間だった。
超能力の発動が開始されるまでの刹那の間に女の眼前に迫った邦來は、更に隠し持っていた二本目の短刀を逆手で抜く。疾走の勢いのまま女の細首に一気に突き立てる。渾身の力でもって突き出した一撃は、女の細首程度ならへし折るほどの威力を持っていただろう。
短刀は確実に女の動脈を捕らえ、骨まで食い込んでいた。邦來は短刀を握る手へ更に力を込める。肉を貫く生理的嫌悪感を催す音を鳴らし、刃が数センチ奥へとめり込む。不思議なことに、一滴たりとも血は出てこなかった。
勝敗など当に決しているというのに、邦來は力を緩めることをしない。それどころか今も必死の表情で、女の細首を切断せんと刺突の力を横薙ぎへと変換しようとしている。なぜならこの女は――
「手元が僅かに狂っているな。私を殺すのがそんなに嫌か、邦來?」
――不死身だからだ。
「望みどおり、殺してやるよ!」
呪詛のように叫び、邦來は刃を一気に薙ぐ。八割ほど切り裂いた細首の断面から、数滴の血が虚空に舞う。首を斬ったというにも関わらず、あまりにも少ない流血。そして無骨に斬られた首の傷が完全に塞がる。再生した首は傷ひとつ見当たらない。その事実が、女が普通ではなく不死身であることを如実に示す。
吸血鬼のように開かれた女の唇が、背筋を凍えさせるほどの威圧感を孕んだ笑みを形作る。後方へ高く跳躍しながら超能力を始動する。
邦來の心臓を中心として、直径約六メートルの巨大な力場が形成される。先ほどより数段広い領域が、中心部へ向かって膨大な力を伴いながら収縮を開始する。
先の経験から、力場生成から圧縮開始までは一秒以下。自身の運動能力、体勢から鑑みても、半径約三メートルの殺傷領域から逃れることはできない。鉄骨をも圧搾する力は、一秒後には邦來という人間をただの肉塊に変えるだろう。即ち死。巨人の手に握り締められることと同意である。
間近に死を実感すると共に、全身の産毛が逆立ちを始める。寒気どころではない。圧倒的な現実感を持つ死への恐怖で身体が弛緩する。それに伴い眩暈もするが、これは恐怖からなのか空間の収縮に伴うものなのかを判断することができない。
死にたくない。まだ死ねない。
精神崩壊の寸前、邦來がようやく、今になって己が置かれている状況をほぼ正確に把握する。
女が操るこの力は、単なる空間の収縮ではなかった。邦來の眼には、この世の概念が青色の濃淡となって映っていた。均一な薄い青色に染まっていた空間は、外側から濃い青となって内側に侵入していく。恐らく、均等に偏在する空間の存在確率を一点に集めることにより、周囲の空間を無理やり一点に収縮させているのだ。学問によって導き出される世の理(ことわり)を完全に無視し、存在確率という曖昧なものを操作することにより擬似的に空間を圧縮している。
ならば、やりようはある。
邦來は一点に殺到する存在概念を視認し、この現象が世界において致命的な欠陥であることを確認する。バグは取り除かなければならない。それは人間にとっても世界にとっても同一の見解である。
邦來は、歪められた存在概念を仮想天秤に片皿に、正常な空間の存在概念を片皿に乗せる。世界という審判者に天秤を傾けさせる。傾くのは正常な空間の存在概念。ならば、歪められた存在概念は、世界が持つ恒常性によりその存在が掻き消され、空間圧縮という超能力は無効化される。
存在概念を歪められ、存在確率を操作させられていた空間は、世界という絶対権限によりその枷を外され、元に戻るべく中心部へと向かっていた力が元あった空間に戻される。その現象は風となって立体駐車場内を荒れ狂い、あちこちに降り積もっていた粉塵を巻き上げる。砂がコンクリートの地面や鉄柱を擦る音を鳴らす。
視界が明瞭になった頃、前方に立っていた女が軽やかに拍手をしていた。吸血鬼のような気色悪い笑みを常に浮かべ、大蛇バジリスクのような視線だけで人を殺せる瞳を持ち、猟奇殺人鬼も尻尾を巻いて逃げ出すほどの血生臭い雰囲気を漂わせる、人間でありながら人間ではない、化物であり怪物である女が、満足そうに拍手をしていた。
「一度だけとはいえ私の力の正体を視、唯一の弱点を探り当て、そして己の力を使って完全に無効化した。完璧には程遠いが及第点だな」
女は大層嬉しそうに微笑んでいた。吸血鬼のような人間離れした冷笑で、邦來の偉業を称えていた。
「阿頼耶(あらや)、お前は何度俺を殺そうとすれば気が済むんだ? 普通死ぬぞアレ」
「結果よければすべてよしと言うだろう? それに、お前も私の首に短刀を突き立てたじゃないか。それでおあいこにしよう」
「不死身の化物と一般人の俺を一緒にするな」
「失礼な。何度言ったら分かる、私はちゃんとした麗しい乙女だぞ? なんなら今晩私を抱いて確認してみるか?」
阿頼耶の扇情さの欠片もない誘惑を無視し、邦來はその場に座り込んだ。折りたたみ式の携帯電話を開いて時刻を確認する。
ニ〇一〇年四月四日、午後二十三時四十分。あと二十分もすれば、高校一年の春休みが始まる時刻。
いつもどおりだった。二人によるいつもどおりの殺し合いだった。
目の前まで歩いてきた阿頼耶が手を差し出す。その手を掴んで立ち上がったときに見えた空は、下弦の月が浮かぶ漆黒の夜だった。
2010.03/19(Fri)
キーボードを打つのが大変
その日、私は不意に走りたくなった。
童心を思い出したかのように、ニコチンに犯された身体に「そろそろ暴れようぜ」とそそのかされたかのように。
私はそのとき、何の理由もなく走りたくなった。
そして、私は外にでた。
目的地はあった。
久しぶりに利用したコインランドリー。
ちょうど洗濯機に放り込んだ洗濯物が、洗濯と乾燥を終えている頃だった。
夜の十時半を過ぎていた。
コインランドリーまでの道のりは、距離にしておよそ300m。
ちょっとした運動気分で、私は人気のない道路を走った。
ジョギング感覚だったのが、気分が乗ってきて全力疾走になる。
風を切りながらボルトのように走り、100mを走りきったかというところで――――
こけた
何もないところで『こけた』。
そりゃあもう見事なこけっぷりだった。
何もないところでつまづき、ベースもないのに地面に向かってヘッドスライディングをかました。
右手の平を思い切りすりむき、打撲し、上着をボロボロにするほどの豪快なヘッドスライディングだった。
その日、私が学んだこと。
ドジは本当に何もないところでこける。
童心を思い出したかのように、ニコチンに犯された身体に「そろそろ暴れようぜ」とそそのかされたかのように。
私はそのとき、何の理由もなく走りたくなった。
そして、私は外にでた。
目的地はあった。
久しぶりに利用したコインランドリー。
ちょうど洗濯機に放り込んだ洗濯物が、洗濯と乾燥を終えている頃だった。
夜の十時半を過ぎていた。
コインランドリーまでの道のりは、距離にしておよそ300m。
ちょっとした運動気分で、私は人気のない道路を走った。
ジョギング感覚だったのが、気分が乗ってきて全力疾走になる。
風を切りながらボルトのように走り、100mを走りきったかというところで――――
こけた
何もないところで『こけた』。
そりゃあもう見事なこけっぷりだった。
何もないところでつまづき、ベースもないのに地面に向かってヘッドスライディングをかました。
右手の平を思い切りすりむき、打撲し、上着をボロボロにするほどの豪快なヘッドスライディングだった。
その日、私が学んだこと。
ドジは本当に何もないところでこける。



